百地外伝~夢と希望
「夢子、夢子……」
あたしは、身体の重みを感じて目を開けた。
そこに見えたのは、心配そうに覗き込む翔の顔。
「夢子、そんなに気持ち良かった? なんか、放心してるみたいだったよ」
「翔、あたし、ずっとここにいた?」
あたしは突然、全てを理解した。
あたしの身体が天に昇ったわけではなく、あたしの意識がこの身体を離れ、魂の記憶を手繰りに行ったのだ……
「……」
「あたし、夢を見てた……」
「白昼夢?」
「突然、魂の記憶が押し寄せてきて……、あたし……」
「兎に角、ここから出よう」
翔はあたしの両腕を掴むと同時に、湯からザッと立ち上がった。