百地外伝~夢と希望
そのまま浴衣を着せられて、旅館の部屋に寝かされた。
あたしは促されるまま横たわり、静かに目を閉じる。
『しのぶ…』
と、心の中で百地の名を呼んだ。
少しの間をおいて、百地の声が返ってきた。
『夢子、おまえ……、魂の記憶を見たのか?』
『百地、あんたにも、あたしの見た記憶が伝わっている?』
『嗚呼……』
直ぐに力ない承認の頷きが聞こえてきた。
それで十分。
この驚愕の事実が共有されてるとわかっただけで、あたしは救われた。
あたしは、この世に何度も巫女として生まれてきた。
古の昔、戦いの祝詞を皆に伝えるのが、あたしの役目だった。
そして、あの魂の記憶が正しければ、ひとつ前の前世、あたしは『懍』おばさま、その人だったということだ。