百地外伝~夢と希望


「夢子ったら……」


紫苑先輩の声は震えていた。


「夢子一人帰すのは心配だから、俺達も帰ります」

「えっ、俺達って?」

上ずる紫苑先輩の声。

「あ、あたしと百地」

「三人とも帰っちゃうの?」


情けない声で聞き返す紫苑先輩の目には、薄っすらと涙さえ浮かんでいる。





紫苑先輩、あたなはもしかして、あたし一人を帰すおつもりだったんでしょうか?

それ、有り得ませんから。
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