百地外伝~夢と希望
「百地忍が百地心波の孫だとすると、奴もその『他心通の術』に長けてるってこと?」
頭の回転の速い翔が導き出したのは、正にあたし達が今知りたい確信で。
「おじ様!
百地君は会ったこともないあたしの名前を知ってたの!
それに、翔が陸上部に入るってことも!」
「う~ん、それだけじゃなんとも言えないな……」
「何でだよ?」
「何でって、現に君らだって、百地忍の名を知ってるわけだし。翔がこの間のジュニア陸上で賞を取ったのは新聞にも出てたしな。
それくらいの情報なら、他心通の術を使うまでもなく手に入れられる。
兎に角、まだ彼に関する情報が少なすぎる。
百地忍が百地心波の孫だと決まったわけでもない。
正しい決断は、正しい情報の中からしか生まれないものだよ」
おじ様は冷静だった。