百地外伝~夢と希望
『ユタは薄々、俺達三人の繋がりの深さに気付いている』
『えっ?』
『分かった上で、俺達と距離を置いた関係を模索している。まぁ、大した奴だよ』
百地の落ち着いた声が聞こえてきた。
ユタに会話を振った百地には、ユタが取る行動まで予測できていたというのだろうか?
「夢子、ってことで文集のことは心配しないで良いよ。
夢子はゆっくり休んで、自分の作品、貯めておいてね」
そう言って笑ったユタの瞳には、一点の曇りもなくて。
ユタのあたしへの労わりの気持ちに嘘はないのだろうと思った。
「うん」
小さく頷くと、あたしは心の中でユタに感謝した。
『紫苑先輩のことは、ユタに任せて、俺達は根来へ出発だ!』
そう、あたし達は、根来へ。
心波の元へ。
彼が伝える言葉を受け取りに行かなくてはならない。
『根来へ……』