百地外伝~夢と希望


「あっ、じいちゃん……」


翔がスクッと立ち上がると、人影に向かって走り出した。

翔の横に立った人影は、そのバランスからしてかなりの大男。


あれが、藤林の長?


二人がゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

段々とはっきりしてくるその風貌。

腰まで伸びた白髪に、同じく腰まで伸びた顎鬚。

真っ黒に日焼けしたその顔には深い皺がいくつも刻まれていて、確かにこの人は翔の祖父で、かなりの老人の筈なんだけど、白く伸びた眉毛の下には、ギラリと光る鋭い眼光。

そのはっきりとした瞳が、みなぎるパワーをあたし達に向かって放っていた。


そして、その風貌に似つかわしくない小ざっぱりと糊の利いた真っ青な藍色の甚平を見に纏い、足元にはナイキのピンクのスニーカー。
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