百地外伝~夢と希望
それから三人は、疾風の馬具を外し、荷車の向きを変え、疾風を促してまた馬具を付け出した。
疾風はすっかり落ち着きを取り戻し、素直に指示に従っていた。
あたしはその様子を手持ち無沙汰に眺めながら、襲ってくる気だるい眠気と戦っていた。
(だって、朝、早かったんだもの……)
「夢子、そろそろ行くぞ!」
翔の呼び声に、我に返った。
ゴロゴロと荷物を引きずり、荷車に近づく。
「ほら、荷物よこせ」
と、百地があたしの荷物を手に掴んだ。
荷物を荷車の奥に載せ、あたし達も馬車に乗り込んだ。