百地外伝~夢と希望
あたしと翔の両親は、根来(ネゴロ)の出身。
伊賀の忍者が落ち延びたという隠れ里。
それは、和歌山の山の中にある。
その根来にある翔の家、藤林家は代々村の長(オサ)を務める家系。
そしてあたしの母は、旧姓、戸隠(トガクシ)。
戸隠家は代々村の祭りごとを司る巫女の家系なんだって。
それがどういうことなのか、小さい頃はよく分かんなかったけど。
あたしのママは村にやって来た小学校教師のパパに一目惚れして駆け落ちした。
『あんな閉鎖された世界、抜け出せて清々してる』
ってママは言うけど、どうかな?
結局、あたしが生まれて3年後にパパは交通事故で死んじゃった。
親子二人途方に暮れてるところへ、根来の里から翔一家がやってきた。
そのお陰であたしの今がある。
翔の両親とママは幼馴染みっだって聞いていた。
あたしと翔と同じだね。
何でも知ってるし、何でも話せる。
そんな関係なんだ。
翔の両親は、ママが根来を捨てたことについて何も言わない。
けど、一緒にいてくれる。
ママのこと大切に思ってくれてるんだと思う。