百地外伝~夢と希望
「雑草がさ、野菜の株よりでっかくなると、お日様が当たらなくなるだろ。
それがヤバイんだ。
だからって、雑草にだって生える権利はある。
そこら辺にほっぽいといたら、またいつか芽出すしさ、そうやって命は循環して、土も肥えてくってこと」
翔が振り向いて、ニッコリと笑った。
全ては、廻り廻る。
そういうことか……
「ちょっと採り過ぎかな? じいちゃん、収穫サボってたんだな、もう歳だしな」
いつの間にか翔の持つ籠の中は、野菜で一杯になっていた。
「あのスイカも持って行きたいけど、ちょっと重いかな」
そう翔が呟いた時、ザワザワと木の葉の揺れる音がした。
その向こうから、百地がひょっこりと顔を出す。
「あっ、百地、丁度いいとこに来た。あれ、あのスイカ持ってこう」
「あぁ、長もそう言ってた」
百地は長に言われて、スイカを採りに来たらしい。