百地外伝~夢と希望


「と言うことは、心波、お前は懍の真の対でなかったということか?」


「恐らく。

夢子が今ここに居て、忍がその対であると言うのなら、そういうことになる。

わしが、懍を守り通せなかったのも、それ故か……」


心波の顔が苦しさで歪むのを、あたしは見のがさなかった。




『心波、助けて……』




魂の記憶が蘇った。

悲痛の叫び、絶望。

心波の差し伸べた手は、あたしには届かなかった。

懍であったあたしには……

だが、それはもう、遠い過去の記憶。

やはり、あたしは懍おばさまの生まれ代わりなのかもしれない。


でも……



真の対って、何?
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