百地外伝~夢と希望


「じゃが、お前達には、わしらの轍は踏ませぬ。

わしらの目の黒いうちに間に合うて良かった。

幸い、まだお前達の能力は頂点に達するまでには至っておらん。

まだ間がある」


長、心波、魁、三人が顔を見合わせて静かに頷いた。

齢八十を過ぎたこの老人達からあふれ出るパワーが、あたし達を圧倒する。

あたしは、彼らの口から発せられる次の言葉に神経を集中させていた。




「その任、全て俺が背負う!」




彼らに先んじて、声を発したのは百地だった。



「夢子には翔がいる。二人は、今のままで十分だろう?」



きっと、彼ら三人がこれから発しようとしている内容は、既に百地にとっては周知の事なのだろう。

それとも、百地がその内容をあたしには聞かせまいと彼らの言葉を遮っているのだろうか?

あたしは、今の今まで一言も発しない翔の顔を覗き見た。

翔の顔は、緊張と決意で引き締まり、僅かに紅潮さえしていた。

その視線の先には、百地を見据え、静かに頷いている。




翔も全てを理解している?
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