百地外伝~夢と希望
あたしは、希望を映す鏡となる。
その希望を目指して、一族が、忍が、己の使命を全うする為に動く。
その希望とは?
その使命とは?
いったい何なのだろう……
「時は、まだ満ちてはおらぬ。焦らずともよい、まだ時はある」
魁は穏やかな笑顔で、あたしに向かって囁いた。
「風がお前を生んで、この根来を離れた時から今まで、わしらはこの時を待っていた。
待つだけの余裕があったからじゃ。
だが、時は満ちようとしている。
これからはお前達が、わしらの意志を引継ぎ、繋いでゆかねばならぬ」
「おじい様、あたし達にそれが出来るでしょうか?」
「もうすでに決まっていることじゃ。あとは、万全を尽くして、時を待つのじゃ」
魁の言葉に、あたしは大きく納得したように頷いた。
確かに、あたしは「希望」とういう言葉を心に浮かべた時点で、そのことに気付いていたのかもしれない。
何故なら、驚く程に、あたしの心は穏やかだったから……