百地外伝~夢と希望




あたしは、希望を映す鏡となる。




その希望を目指して、一族が、忍が、己の使命を全うする為に動く。

その希望とは?

その使命とは?

いったい何なのだろう……



「時は、まだ満ちてはおらぬ。焦らずともよい、まだ時はある」



魁は穏やかな笑顔で、あたしに向かって囁いた。


「風がお前を生んで、この根来を離れた時から今まで、わしらはこの時を待っていた。

待つだけの余裕があったからじゃ。

だが、時は満ちようとしている。

これからはお前達が、わしらの意志を引継ぎ、繋いでゆかねばならぬ」


「おじい様、あたし達にそれが出来るでしょうか?」


「もうすでに決まっていることじゃ。あとは、万全を尽くして、時を待つのじゃ」


魁の言葉に、あたしは大きく納得したように頷いた。


確かに、あたしは「希望」とういう言葉を心に浮かべた時点で、そのことに気付いていたのかもしれない。


何故なら、驚く程に、あたしの心は穏やかだったから……
< 223 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop