百地外伝~夢と希望
「じっちゃん……」
あたしの後ろから、翔が長に声をかけた。
「おう、起きたか? みな良く眠れたかのう」
まるで何事もなかったように長が振り向いた。
「すまんのう、この騒ぎで起こしてしもうたかのう、まあ、みな悪気はなかろうて」
「あの、あたし……」
「元々のう、今日は戸隠の家に行こうと思うとった。
昨晩は、魁が痺れを切らして足を運んで来てしもうたがのう」
「でも、あの……」
あたしは戸惑っていた。
「ん?」
「みなさんが、何であたしや百地君にそんなに会いたがっているのか分かりません」
「そうか?
わしだってずっと会いとうてたまらんかった。みなも同じじゃて。
根来のもんはみな家族みたいなものじゃて、それが一族の絆というもんじゃ。
夢子ちゃんが、そう気負う必要はなかろうて。
会うてみたらそれでいいんじゃ」