百地外伝~夢と希望
あなたは巫女となる……
そう言い切ったママの真っ直ぐな目を思い出していた。
巫女となるあたしを送り出し、それで母としての役目は終わった?
田中の姓を捨て、ママは一人、根来の者として、戸隠風に戻るってこと?
「長、もしかして母も、ここに戻って来てるんですか?」
あたしは、何故かママを身近に感じた気がして、長を問い詰めた。
「さあのう、かもしれんし、違うかもしれん。
わしには分からんのう。まぁ、戸隠の家に行ってみればわかることじゃて」
はっきりと否定しない長をちょっぴり疑った。
本当は何か知っているに違いない。
でも、『長の心は読めない……』と言う百地の言葉に諦めた。
行けば分かる、確かにその言葉に嘘はないのだから。