百地外伝~夢と希望
「そうだね」
「じゃ、王子さまとお姫さまは健在ってことで、俺は先に行くわ……」
顔一杯に笑みを湛えて、翔が走り去っていった。
「言わしとけって……」
百地は繋いだ手を離そうとしなかった。
百地と繋ぐ手の温もりは、あたしにとって特別なものなんだ。
この温もりがあれば、あたしはあたしで居ることができる。
ただ手を繋ぎ、他に言葉を発することもなく、真っ直ぐ前を向いて黙々と歩く百地の横顔をじっと見る。
その瞬間、あたしは一つのことを確信した。
あたしと百地は、こうやって歩き続ける。
何時までも、何処までも……