百地外伝~夢と希望



「夢子、百地君、なに堂々と手なんか繋いじゃって……」



耳慣れた声に振り返ると、ユタが顔を赤らめて、じっとあたし達の手元を見つめていた。


「ユタ、そんなこと気にすんなよ」


百地が呆れたようにユタをたしなめた。


「僕が気にしなくったって、他のみんなが気にすると思うけど……」

「そ、そうかも……

そうだよ、そうだよね!」


あたしは慌てて繋いだ手を振りほどいた。


「ま、夢子が気にするなら、仕方ないな」


あっさり引き下がる百地の顔は、いつも通りで何の動揺も見られない。


「じゃ、俺も先行くわ、ユタも話があるんだろうし」

「何で、そんなこと分かるんですか?」

「顔中に、俺が邪魔って、書いてある」


百地はニヤリと笑うと、足を早めてズンズン先へ行ってしまった。
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