百地外伝~夢と希望
文化祭の二日間はあっという間に過ぎ去った。
まぁ、中学の学園祭ということで、メインはクラスの発表展示と学年劇なのだ。
一部の運動部は対抗試合、翔と百地の陸上部は地味に体力測定会。
その他、料理研究部とか手芸部とかが、お菓子や小物の販売をして、あたし達文芸部の同人誌はちょっと異色の存在だった。
一部百円で三百部用意した冊子は二日間で完売。
全校生徒の約半数が買ってくれた勘定になる。
ユタの『小林少年の事件簿』も好評で、事件の中核で小林少年を影で助ける忍者が、どうやら百地をモデルにしたヒーローらしい。
紫苑先輩は『きみが僕で僕がきみ』というタイトルのラブコメディで女子生徒を魅了した。
男勝りのイケ面ギャルが乙女チックななでしこボーイと恋に落ちるラブコメディ。
流石に女同士って設定ではなかったけれど、きっとこのイケ面ギャルのモデルは翔だと思った。
みんなそれぞれに実り多い夏だったわけだ。