百地外伝~夢と希望
「紫苑先輩が山はってくれるなら、俺も参加しようかな」
隣りで、百地がこそっと呟いた。
「百地君、ずるいですよ、君が行くなら僕も参加します!」
ユタがすかさず声を上げた。
「お前らなぁ~ いい加減にしろよ」
翔がうんざりした様子で叫んだ。
「まぁ、たまにはいいんじゃない、賑やかでさ、ハハハ……」
百地はもう、堪え切れなくて笑ってた。
「賑やかって、あたしは藤林さんと二人がいいのよ、本当は……」
翔には悪いけど、あたし、紫苑先輩のちょっとムクレタ顔が、可愛いって思ったよ。
「みんなぁ~、気をつけて帰れよぉ~」
先生の大きな声が遠くに聞こえた。
いつもの日常の、ひとつの行事が幕を下ろした。
「さぁ、帰るとするか……」
百地はそう言うと、手を繋いだまま歩き出した。
「ほんとにお前も来る気?」
一緒に歩き出したユタに、翔が怪訝そうに聞いた。
「勿論ですよ、男に二言はありません!」
そんなとこ、ムキにならなくても……
あたしは、そんな何気ない会話が心地よい。
フェスティヴォゥの夜は、そうして更けていったのでした……