百地外伝~夢と希望


はっきりと憶えてる。


夢の中、王子様があたしの手を取って、じっとあたしの目を覗き込んだ時のこと。


「僕がずっと君を守るから……」


彼は力強い声ではっきりとそう言った。


手に今も残る、力強い感触、込められた熱。

見上げた視線、切れ長の目、日焼けした肌、通った鼻筋、きりりと引き締まった口元。

そして、右の眉の下に薄っすらと残った傷跡。



見間違える筈ない。


あれは確かに、百地だった。
< 26 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop