百地外伝~夢と希望

「忍お兄さんが帰って来た時の博君の顔、見せたかったわ。

まるで百年も会ってなかった恋人に再会したような、輝く笑顔……

他人には解らない、深い絆で結ばれてるって感じ。

博君、お兄さんのことが本当に大好きなのね……」


「百地もきっと、博君のこと大切にしてるんだろうな……」


あたし、胸がジィンと熱くなった。


「夢子は、すぐ感動するから……」


翔は相変わらずの様子で、目を泳がせて視線を合わせようとはしなかった。


「あら、普通よ、感動しないあんたが変。

五体満足で、それだけで幸せなのよ、あなた達は……」


そう言いながら、おば様も鼻をすすってる。


「なんとか、歩けるようにはならんのか、その子の足は……」


って、振り向くとおじ様が目に涙いっぱい溜めて身を乗り出して聞いていた。


二人とも気持ちが優しいんだよね。

困った人を見ると、放っては置けない性質なんだよ。
< 262 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop