百地外伝~夢と希望


「由紀さん曰く、医者には見離されたって。

でも、指先の感覚は少しあるらしいの」


由紀さんて、百地のお母さま?

おば様、なんか親しげじゃない?


「なら、可能性はあるな」

「でしょ?」

「なんだよ、親父達、何考えてんの?」

「次の出張カットは俺が行く」


おじ様の顔がきりりと引き締まった。


「えぇ、お願い」

「またかよ……」


おじ様は整体師の資格っていうか、技を持っていて、歩けなくなった人とか、首が回らなくなった人とか、腰が曲がってしまった人とか、医者にも見離されたそんな人達を何人も治してきたの。


でもそれは秘密。


表立って看板とかは出してないし、お金を貰ってる訳でもない。

たまたま、出張カットに出かけた先で出会った人達、そんな縁を感じた人にだけ、秘術を施してきた。


そして、今回は、それが『百地忍』の弟、百地博だってこと。
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