百地外伝~夢と希望


「博と俺は六つ違いでさ、俺が小学校に上がって手が離れて、父さんの仕事が忙しくて家にいつかなくなって、母さんが丁度寂しくなった時に生まれた子なんだ。

俺だって、父さんがいつも家にいなくて寂しかったから、博が生まれて嬉しかった」


あたしは一人っ子だからわからないけど、きっと百地は博君のことを可愛がってたんだと思った。


「でも、あの日、

俺は友達と遠出をする約束をしていて、博を邪魔にしたんだ……」



苦しそうな声に百地の方を覗き見ると、その顔はまるで泣いているように見えた。



「博はさ、博を置いて友達と遊びに出た俺を追いかけてきて事故に会ったんだ……

俺、博が追いかけてくるの知ってて、追いつかれたくなくて、赤に変わろうとしてる信号を無理やり渡って……

そしたら、博、横断歩道の真ん中で転んで……

その背中をバイクに轢かれた」



淡々と話す言葉とは裏腹に、彼の顔は苦しみに歪んでいた。
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