百地外伝~夢と希望
深い悲しみ、後悔、そして絶望……
誰が責めたというわけではないだろう、それは百地の中に生まれた自然な思い。
博君をほんとうに慈しむ、その気持ちから生まれた思い。
百地の胸に顔を押し付け、伝わってきたのは、そんなやるせない思い。
『大丈夫、あたしはずっと側にいる。それに、博君は治るよ』
『夢子は俺の希望だ……』
心の中に百地の声が響いた。
「おおげさだなぁ~」
あたしは、ぐっと両手をつっぱって、百地から身体を離した。
「そんな泣きごと言うなんて、百地君らしくないよ。
だいたいさ、小学生の時のそんな小さなわがまま、誰だって一つや二つ身に覚えがあるんじゃない?
たまたま、博君が事故に会って、百地君が責任感じる気持ちも分かるけど、事故は起こるべくして起きた、そういうことだよ」
「で、治るべくして治るって?」
「まぁ、そういうことかな」
あたしは、とぼけて、にこっと笑った。
次第に百地の表情もほぐれてきた。