百地外伝~夢と希望
「それでも、やっぱり、夢子が俺にとって希望であることに変わりはないよ」
百地が落ち着いた声があたしに語りかけた。
「夢子のことばに希望をもらって、夢子といることで希望を感じられる」
「ほんと、おおげさだなぁ」
あたしは照れて、百地の顔をまともに見れない。
「でも……
夢子にとって、俺はなに? どんな存在?」
「えっと……」
「まさか、王子様とか言わないよな?」
あたしの頭の中には、夢の王子様のイメージしか浮かんでこない。
「まっ、仕方ないか、夢子は夢見る乙女だからな」
「なに、それ!」
あたしは、わけも分からず膨れてみせた。
「夢子は俺の『対の者』ってわかってるから、信じて待てる。
俺が夢子の本当の王子さまになれる日をさ」
そう言って笑った百地は、あたしをからかって楽しんでいるようにしか見えなかった。