百地外伝~夢と希望
高速を下りたあたりから、あたしはもう夢の中だった。
知波さんの運転が上手というのもあったのかもしれないけど、気がついたら夕暮れ時の山の中。
「さあ、着きましたよお姫様」
そう声を掛けられて目を開けると、あたしは百地にしっかり寄りかかり、すっかり寛いだ姿で眠っていた。
見上げると、百地の顔。
「あっ、ごめん、重かったよね」
「夢子、とっても気持ち良さそうに眠ってたよ……」
優しい微笑みを返されて、あたしは返す言葉もなかった。
「夢子は何処でも寝れるから」
ママが追い討ちをかける。
「だって、寝るのがあたしの趣味」
あたしは、ちょっぴり膨れて身体を起こすと、乱れた髪を手櫛で直した。