百地外伝~夢と希望
「夢子や、そう心配するでない。
わしとリンとは違って、お前と忍は真の対の者。
どんなに離れていても、心は通じているのじゃ」
「でも……、でも……」
「そう心配するでない。その時がくればわかることじゃて……」
狼狽するあたしの手を、横で見ていた百地が自然と握っていた。
満たされる気持ち。
癒される心。
百地と繋がることが、こんなにもあたしに安心感を与えてくれるものなのに、それが無くなってしまうなんて……
『じっちゃんも、ああ言ってることだし、そんな先の心配すんなって』
心に響く百地の声に、
『うん』と小さく頷いてみる。
「わしはおよびでないようじゃのう、ガハハ……」
心波はそう言うと、笑いながら村人の群れにまぎれて行った。
あたしはその後ろ姿を、何故か懐かしい気持ちで見送った。