百地外伝~夢と希望
「<ひかるめめず>は『ひかるのはら』で採れるとして、問題は<とかげのしっぽ>だ。
これは時期的に春がいい。
春は生命力が高まる季節だ、とかげにとっても例外ではない。
三月から四月にかけて、かなりの量のとかげのしっぽが必要になる」
「丁度春休みの時期だ。
おじさん、それは僕がなんとか集めます。
博のためだ、何が何でも、絶対に集めます」
「まぁ、忍くん、そう気負わずに。
村のみんなも協力してくれる。きっと上手くいくさ」
「ありがとうございます!」
百地は深ぶかと頭を下げた。
「これも、確実な効果が期待できるから頑張れる。
何と言っても、あそこに生き証人がいるからな」
おじ様は、村人の輪に混ざって大きな口を開けてガハハと笑う、心波にチラリと目をやった。
「彼があんなに無防備に笑うのは五十五年ぶりだそうだよ。
もともと人懐こい性格だったらしいが、リンさんの死後、山に篭ってからは村との接触を一切断っていた。
長も主もホッとしてるよ。
三羽烏と呼ばれるほど、昔から仲の良い三人だったらしいから」