百地外伝~夢と希望
「夢子、なんか上の空じゃない?」
ユタが突然、あたしの顔を覗き込んだ。
「なに? おどかさないでよ!」
ユタの顔が目の前にあって、あたしはちょっとドキリとする。
「何言ってんのさ、さっきからずっと呼んでるのに……」
「あっ、そう、ごめん」
あたしは、それでも上の空だ。
「百地くんがいないから? そんなに気になるんだ?」
そんな風に言われても、ピンとこない。
百地とあたしは……
あたしは、思わず椅子から立ち上がった。
あたしの目の前には、少し視線を上にずらしたところにユタの顔。
何? ユタ? あんた、大きくなってない?
「ユタ、何であたしより大きいのさ?」
「何でって、僕は毎月1cmずつ、着実に伸びてますから。
夢子が気がつかなかっただけで、僕、入学してからもう10cmは伸びてますから」
「気にいらない」
あたしを一人残して、周りがどんどん変わっていくことに焦りを感じていた。