百地外伝~夢と希望
「そして、俺は巫女の対の者。
巫女を守る忍びの者。
そして、『他心通の術』を引き継ぐ者」
「そ、それって……」
「そう、俺は、人の心が読める。
それも手にとるように。
その力は日に日に強くなって、自分と他人の境界が消えてなくなりそうだ。
この類まれなる能力を生かすも殺すも、これからの修行次第。
この能力の正しい制御の仕方と使う術を、正しく身に着けなければ、これからの俺はない。
下手をすれば、このまま狂ってしまうかもしれない。
唯一、俺の救いは夢子なんだ。
夢子と繋がっている時だけ、俺は他人の心から開放される。
修行が進めば、別の術も身につくだろうが、今は夢子が唯一の救いだ。」
「何で? 夢子と百地くんが『対の者』だから?」
「そうかもしれない。
俺と夢子は心と心が繋がっている。
離れていても、お互いを心で念じることで呼び合える。
夢子に触れている時だけ、俺は他の世界から遮断される」