百地外伝~夢と希望


「そのことに、いったい何の意味があるんだい?

そんな二人の事情を聞かされたって、僕に何ができるっていうんだい?」


さすがただ者じゃないユタが、大きな疑問をぶつけてきた。


「<巫女と『他心通の術』の使い手は、乱世にだけ現れる>と、根来にはそう伝わっている。

今が、その時だということかな……」



「乱世……」



「戦争だけが乱世じゃないさ。

近い未来、グローバル化した世界の秩序が乱れ、人類を滅亡へと追いやっていくとか……

拡散した核が不用意に爆発するとか……」



「で、君達が救世主ってこと?」



「それは俺たちにも、わからない。

そうかもしれないし、只の偶然かもしれない。

まだ巫女にお告げはない」


百地の言葉に、あたしは静かに頷いた。


「その時がくれば、わかることだ。

その時まで、俺は俺のやるべきことをやる。

だから、お前も自分のするべきことを担って欲しい」


乱世とか、滅亡とか、救世主とか……


そんなSFちっくな言葉を投げられて、あたし自身は目が回りそうだってけど、ユタは何処か落ち着いてその言葉を噛みしめているように見えた。
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