百地外伝~夢と希望


「入部希望でぇす」


高橋君はそう大きな声で叫ぶと、入口横の〈文芸部〉と書かかれた看板を確認し、ドアを開けた。


「嬉しいっ!

去年は新入部員ゼロだったんだ。

今年も駄目かなって諦めかけてたのに、いきなり二人もだよ!

夢じゃないかな?

あっ、宜しく、あたし部長兼、副部長兼、書記兼、会計の園部紫苑」


ドアを開けるなり、握手を求められた。


園部先輩は、こんなボロ部室には似つかわしくない、色白でストレートヘアーの見た目はとってもお嬢様っぽい綺麗な人で。


「僕、高橋豊です。推理小説家目指してます」

「ほう、頼もしいなぁ。君、副部長ね」

「はぁ?」

「人数少ないから、選択の余地ないよ。そっちの君は?」

「私は、田中夢子です。詩とか童話を書くのが好きです」

「メルヘン派ね。君は書記兼会計宜しく」

「はぁ?」


有無を言わせず、話はどんどん進んでいって、なんか、狐につままれた感じ。
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