百地外伝~夢と希望
あたし達の焦った様子に気づいたのか、園部先輩は急に真顔になった。
「ゴメンゴメン、唐突だったね。
改めて、あたしは園部紫苑。
今年は部員も増えることだし、部長に専念するつもり。
コメディを得意としてます。
あっ、創作落語とかも書くよ。
今年は部員三人もいるから、同人誌みたいの作りたいね。
予算取り、頑張ろう!
あっ、もし二人が入部してくれるならって前提だけど」
「あの、部活の日程とか、申し込み書とか頂けますか?」
「はい、これ。
部活は特に曜日とか時間とか決めてない。
今まで一人だったしね。
部室の鍵は職員室にあるから、好きな時に来て使ってかまわないよ。
但し、授業時間中は止めといた方がいいな、先生の目があるし、やっぱヤバイでしょ。
昼休みとかは自由に使ってオッケー。
まぁ、好きにやってよ。
あたしはさ、ほとんど毎日ここに来てるから、職員室に鍵無い時は、あたしが部室にいるってこと」
「はぁ?」
「ここ、夏と冬は最悪だけどね、その他の季節は、見晴らしいいし、風通しいいし、結構快適だよ」
確かに、園部先輩、すっかり和んでる様子だ。
「じゃ、僕達これで失礼します。四時限目があるんで。
明日、申し込み書持って来ます」
「うん、あたし待ってるから、絶対来てね」
教室に戻るあたし達を、園部先輩は嬉しそうに見つめながら見送ってくれた。