百地外伝~夢と希望
「成る程な、ナイトが必要な訳だ……」
勝ち誇ったような、百地の顔がそこにあった。
「だろ? 俺の苦労、分かってくれるかぁ」
あたしを動揺させてるのは、あんた達じゃない?
あたし涙で潤んだ目で、百地と翔を睨み付けた。
「まぁ、ちょっと落ち着けよ、田中。
あそこの公園で、少し休むか?」
百地はあたしの睨みを軽くかわして、優しく声をかけてくれた。
指差す先を見ると、交差点の向かいの角に、小さな公園が見えた。
「ほら、翔と一緒に先行っとけよ」
「おう」
翔に手を引かれて、渋々公園のベンチに座った。
「ほら、飲めよ」
一足遅れて公園にやって来た百地は、手に飲み物を持っていた。
自分と翔にはコーラ、あたしにはミルクティ。
何で、あたしが炭酸駄目だって分かったの?
「あ、ありがとう……」
なんか、もう、すっかり気持ちは落ち付いてたけど。
何で自分が動揺して走りだしたのかってことさえ忘れかけてたけど。