百地外伝~夢と希望
「ところでさ、夢子、百地の親父はやっぱり百地知波だってさ」
「えっ?」
「だから、百地は百地心波の孫ってこと」
「そうなの? 百地君?」
「あぁ、そうみたいだな」
「お前の親父も隠れ忍者?」
「いや、俺の親父は只の科学者だ。宇宙工学の……」
「でも、お前の爺さんは〈伝説の忍び〉だったって親父が言ってたぞ?」
「その話は、俺も聞いたことがある。
でも、俺、生まれてから一度もその爺さんに会ったことがないし……」
「はぁ? マジかよ?」
「何でも、根来の山奥に篭もってるって話。
手紙も電話も通じない山奥なんだと。
親父も山を下りて以来、根来には帰ってないし、生きてるか死んでるかも分からないって……」
「親子なのにか?」
「親父は爺さんに、『山を下りろ、二度と戻るな』って言われたんだそうだ」
何だか上手いこと話をはぐらかされた気がしないでもないけど。
ここは、おじ様の手前、百地の話に乗るっきゃないかな。