百地外伝~夢と希望
「それよりお前、クラブどうすんの? 文芸部?」
「あぁ、そのこと?
チョコパン美味しかったから、入ることにする」
「何だ、それ?」
「昨日ね、高橋君が、あたしが文芸部に入ったら購買部のチョコパン奢ってくれるって。
昨日の夢でさ、あたしチョコパン食べて、凄く美味しかったから、やっぱ文芸部かなって」
「お前、何でも、夢のお告げて決めるのか?」
「そんなことないよ。
只、悩んでることとか、心に引っ掛かることをずっと考えてると、自然と夢を見るんだ。
どうしろとか、どうすべきだとか、そんな具体的なものじゃなくて、未来のあるべき姿が見えるっていうか……
文芸部のことも、入るか入らないかじゃなくて、入ってからどうするかが大切なのかなって。
だから入ることにする」
「なるほどな……」
そう呟いた百地が、あんまり真面目な顔をしてるから、あたしは居心地が悪い。
「何感心してんのさ」
「いや、なんか夢のお告げに振り回されてるのかな?
って、ちょとお前のこと誤解してたかも」
「誤解、解けた?」
「お前って、見かけより、やっぱりしっかりしてるんだな」
それって、褒めてる?