百地外伝~夢と希望
「お前の親も、お前の夢を信じてるのか?」
次に出てきた言葉は、なんだか予想外だったけど。
あたしの夢の話を真面目に聞いてくれた百地には、ちゃんと答えなくちゃいけないって思った。
「あたし父親いないしさ。
あたしの母親はあたしが夢の話するの嫌うし。
夢の話するのは、翔と翔の両親にだけ」
「悪い、知らなかった。お前、父親いないんだ」
「いいよ、気にしないで。
あたしが三歳の時、交通事故で死んじゃった。
だから、全然覚えてないし、いないの当たり前で、寂しくもないし」
「でも、根来には帰らなかったのか?」
「ほら、『二度と戻るな』って言われたでしょ?
あたしの母親、そういうとこ頑固だから。
それにさ、偶然、翔達家族と幼稚園で遭遇して、色々助けてもらってるし。
あたしの母親と翔の両親、幼なじみなんだ」
「で、お前と翔は姉妹みたいに仲が良いって訳だ」
「そういうこと。
あっ、見て、翔が走ってるよ!」
話に夢中で気が付かなかったけど、もうあたし達は学校についてたみたい。
目の前に広がる校庭に、朝練をしている翔の姿が見えた。