百地外伝~夢と希望
「それとさぁ、あたしのこと、部長っていうの止めてくんない?
紫苑か、紫苑先輩かどっちかがいいな。
あたし園部って苗字、嫌いなんだよね、なんかお嬢様っぽくてさ。
その点、紫苑って名前は中性的で、なんか想像力掻き立てられるでしょ?」
「じゃあ、紫苑先輩で……なっ」
って、高橋君があたしに同意を求めた。
「うん」
「じゃあ、紫苑先輩、僕のこともユタって呼んで下さいね」
「了解。田中さんは、名前、夢子だったっけ?
夢子って呼んでいい?」
「はい」
「じゃあ、僕も」
「はぁ?」
「いいじゃん、三人しかいない文芸部なんだし、仲良く行こうよ!
な、夢子」
肩をバンと叩かれて、あたしはどっと疲れてしまう。
付き合い下手なあたしは、すっかりこの二人に振り回されてる。
不安的中。
なんか、胸が苦しくて息ができないよ。