百地外伝~夢と希望
「凄いじゃないですか!」
ユタの顔は、心底凄いと言っている。
「だから、まだ決まった訳じゃないって」
「でも、可能性が大きいってことなんでしょ、君達がそう言うってことは」
あんた、さすが、推理小説家希望ってだけあって鋭いね。
「だから、ユタ、声、大きいって!」
あたしは、他に聞こえないかと気が気じゃない。
「お前、高橋のことユタって呼んでんのか?」
「えっ?」
百地の低い声に驚いた。
「そうですよ。夢子と僕は仲良し文芸部ですから」
「仕方なく、ね。
文芸部、三人だから、部長も含めて、名前で呼び合おうってことになっちゃってさ……」
「はぁ、仲良し文芸部ね……」
百地の顔がちょっと不貞腐れて見えたけど。
何で、あんたがそんなことで不機嫌になんのよ、可笑しいんじゃない?
ねぇ、って翔に同意を求めたけど、翔は机に突っ伏したまま眠っていた。