百地外伝~夢と希望
「それに、僕も、それを望んでいます。
藤林さんだけ特別扱いは不公平です。
僕も、もし記録を計らせてもらえれば、選手に選ばれる自信があります!」
百地のはっきりとした声がその後に続いて響いた。
「君は?」
「僕は、一年の百地忍です」
「百地君、君もまた、随分な自信じゃないか?
そこまで言い切るからには、何か実績があるのかい?」
「僕は先月まで、父の仕事で中国にいました。
むこうの大会での記録があります」
「ほう、で、君の百メートルの記録は?」
「十一秒〇一です。
でも、それは去年の夏の記録なんで、今はもう少し早い自信があります」
「そりゃ、凄いな。
君も特別扱いを受けて、しかるべき資格がある訳だ」
校長の言葉には、あたしでもわかるくらいの棘があった。