百地外伝~夢と希望
「もしかして、丸く収まった?」
あたしの問いに、翔が照れくさそうに頷いた。
「百地君、君、うまいな。
君が権利を主張することで、先生も藤林さんの主張を聞かざるをえなくなる。
校長の教育者としての自尊心をくすぐることも抜かりがなかった。
それにしても、十一秒〇一ってのは、ホント?」
ユタの目はしっかりと百地を掴んではなさない。
「ほんとだよ」
「すげぇ、来年は大会出場、間違いなしだね!」
「約束したからな、今年は無理みたいだけど」
百地が申し訳なさそうにあたしを見たけど。
「あたし、無理なことは言わないよ」
なんだか恥ずかしくて、顔が火照る。
「そりゃ良かった」
百地が安心したように小さく笑った。