百地外伝~夢と希望
「百地君、ありがとう。
翔一人で行ったら、また喧嘩になってたよ」
「だろうな。
翔、お前、少しは修行しろよ〈他心通の術〉」
「何、何それ? 忍術の一種?」
その一言で、ユタの目が百地に釘付けになる。
「周りの状況を判断して、上手く立ち回れってこと」
「成る程、百地君は確かにその〈他心通の術〉ってのに長けてるよ、うん。
百地君さ、忍者の素質があるんじゃない?
修行すればさ、きっと凄い忍者に成れるよ!」
「忍者になって、どうすんだよ?」
「う~ん、そうだなぁ」
「今の世の中、忍者なんて流行らないのさ。
第一、職業として成り立たないだろ?」
「確かに……」
ユタが急におとなしくなった。
でも、何か考えてる様子だ。
こいつは見かけに依らず、案外、手ごわい。