百地外伝~夢と希望
あたし、二人の会話を聞きながら、またまた自分の世界に入り込んでた。
その時、『危ない!』って、あたしの目の前が急に暗くなった。
『ってぇなぁ』
って、その声は百地?
あたしをかばってサッカーのボールの直撃を背中に受けた百地の声だった。
「お前ら、どこ向けて蹴ってんだよ!」
百地はそう叫ぶと、足元に転がったサッカーボールを校庭目がけて蹴りいれた。
「ありがと、百地」
「ぼぉっとすんなよ」
百地があたしの頭をぐしゃっと撫でた。
「百地君って、夢子のボディーガードみたいですね?
あっ、ボディーガードってのはどうですか?」
「はぁ?
それこそ用心棒とどう違うんだよ?」
百地はそう吐き捨てると、足を速めてあたしたちに背を見せた。
その姿はあっという間に校舎に吸い込まれて。
ユタとあたしは、ただ見つめるだけしかできなかった。