百地外伝~夢と希望
「おはよう、君が百地忍君?
あたし、夢子の母の戸隠風(フウ)。今は田中姓だけどね。
お迎え、悪いね」
「おはようございます。あなたが風さん?」
窓から、百地がペコリと頭を下げる姿が見えた。
「そう、何?」
「父から、名前だけは聞いたことがあります」
「知波さん? お父様はお元気なの?」
「えぇ、只、研究が忙しくて、殆んど家にはいませんけど。僕も年に何度か会うくらいです」
「そう、たいへんね」
「種子島の宇宙開発センター勤務なんで、単身赴任みたいなもんです」
「知波さんって、科学者なんだ」
「そうみたいです」
「じゃ、君はここで、普通に暮してるってわけね?」
「えっ?」