百地外伝~夢と希望
「根来との縁は切ってってことよ」
「俺、根来に行ったこともないです」
「そう、その方が幸せよ。忍者の里なんて、胡散臭いだけ。
あたし達、普通の人間だし……」
「……」
「夢子のことお願いね。
あの子、朝はぼぉっとする事たまにあって、小学校の時、バイクとぶつかって意識無くしたことあるの。
翔くんが心配して、それから毎日、迎えに来てくれてるのよ」
「はい、翔と約束したんで」
「そう、ほんと、ありがとね」
「百地君、お待たせ。母さん、行ってきます」
母さんと百地が何話してるのか気になって、あたし朝食もそこそこに、靴を履くなりアパートの階段を駆け下りた。
「じゃ、失礼します」
百地が、深々と頭を下げた。