百地外伝~夢と希望
「だって……、翔と行くからさ……」
あたし、小さな声で呟いた。
だって、何だかあたしが悪いことしてるみたいじゃない?
「えっと、百地? 俺んち知ってる? 夢子んちのちょっと先。
まぁ、暇だったら、俺んちに迎えにこいや」
百地の様子を察してか、翔が声をかけた。
「翔、何で?」
「だってさ、習慣ってやつ。そう変えるわけにいかないんだよ、なぁ」
「嗚呼、確かに」
百地がむっつりと答えた。
「変なの……
あっ、お風呂入る時、必ず先に頭洗わないと気持ち悪いみたいなやつ?
そっか、そうだよね、気持ち悪いよね。
ごめん、気づかなくって」
百地の不機嫌な理由がちょっぴり解った気になって、あたし明るく謝った。
「田中、お前って、どんだけ……」
「夢子は何も考えてないよ。
憶測するだけ無駄ってもんだよ、百地」
「そうだよなぁ、分かってるんだけどよ……」
「分かってるんなら、突っ込むな」
「おう」って、二人で何分り合ってんのさ?
あたしは、全然分かんないよ。