この想いを君に…2
むっちゃんは俺の顔を見つめたまま、黙っていた。



「去年に怪我した時から。
帰らなあかんなって思ってた。
親父は歳取ってきたせいもあってしんどそうやし…」



何より、親戚連中がうるさい。

本家の跡取りが今だに結婚もせず、バイクばかり。

親にかかるプレッシャーも相当なものだと、奏が嘆いているのを見て。

帰ろう、と思った。

門真さんにはシーズンが始まる少し前に話をしていて了承して貰っている。

引退するから、ちょうどいい人生の大きな選択になるんだろうな。
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