カコカレ

失うことで

高2の春。

「リオナ!今仕事でこっち帰って来てるんだけど、久しぶりに会おうぜ!」

遊びに裕也が来ているらしくて、会ってみることにした。

久しぶりに会った裕也は、真面目とは言えないけど、少し爽やかになっていた。

それから約1ヶ月間、ほとんど裕也と過ごしていた。

以前とは違い、裕也が自分に愛を求めているのが伝わった。

大地にもその話しをたくさん聞いてもらった。

そして裕也が東京へ戻る日が、近づいてきた。

「リオナ。東京こない?」

裕也の言葉に心が揺れた。

まだ高校生だし、卒業してからと言いたかったが、待たすなんて嫌だった。

意地っぱりな性格が、全面にでてしまった。

「無理。よりを戻すとか無理だから。」

「そ…か。」


裕也がくれたピンキーリングは、友達の意味として小指にはめた。

裕也は東京に戻ってすぐ、好きだった子と付き合って、1週間で別れた。

裕也からの別れたというメールを見て、あたしは幻滅していた。

「なにしんみりしてんだよ!」

ドンッ!

カランッ

「あ…!」

大地が背中を押した瞬間、指輪がはずれ、取れない溝へ落ちてしまった。

もう終わりにしよう。

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