初彼 -ハツカレ-
「市丸先輩って恐いけど俺好きだな」
「何で??」
「まじめで本気で上手でかっこいいから」
「…。」
「努力する人はかっこいいって思える」
「…………だよね」
あたしは、檜野くんの考えに納得できた。
確かにそぅ思えば
市丸先輩もかっこよく思える。
「あっ木村先輩っこんにちはっ!!」
「こんにちは」
校舎から体育館に続く通路から、
あたしの好きな木村先輩が部活に来た。
木村先輩は女性だけど、
男子をも認めるほどのクールさと
美貌の持ち主だ。
あたしはそのクールさが本当に羨ましい。
あんな大人の女性になりたいよ。
少しでも、部長に近づきたいもん。
「木村先輩かっこいいなぁー…」
「だよな」
「檜野くんもそぅ思う??」
「思う。
部活の中でダントツで大人じゃん??
だからすんげぇかっこいい」
「だよね!!」
あたしは少し興奮して檜野くんに話し掛けた。
檜野くんはそんなあたしに
引きもしないで「俺も」と言ってくれた。