初彼 -ハツカレ-
涙を止めるのは―…
枯れたと思っていた涙は再び溢れて、
洪水になった。
枯れたと思っていた喉は、
あたしの錯覚だったのかさっきよりも
大きな声を出す。
鍵をかけていたはずの思いは、
いつの間にか開錠されていて、
さっきの想いが波のように
あたしを攻める。
こんな汚い感情、
他人には見せられない。
見せたら負けだ。
って思ってるのに、
あたしの脳は気持ちに反抗するみたい。
あたしが考えてもいないのに、
口が勝手に喋るんだ。
部長と、
萌先輩達の
関係が嫌だって。
笑わないで、
そんな固い絆を見せないでって
嫌な光景をまた思い出す。
忘れたいのに、
忘れられない。
言いたくないのに、
言ってしまう。
もぅ……
あたしはどうにかしてる―…。