初彼 -ハツカレ-
「年上だもんね。
不安、あるよね…」
隣にいる彩貴があたしの目を見て
そぅ言う。
「取られそうで恐いよね…」
そぅ訊かれて、
あたしは素直に縦に首を何回も振った。
「子供だって思われそうで嫌だよね」
それにも首を振った。
あたしは、
不安だらけなのかもしれない。
あんなに幸せにしてもらったのに、
こんなにも不安なんだ。
欲張りはやめようって、
さっき誓ったのに
あたしの誓いは脆い。
こんなに脆いんだ…。
あたしの自分自身にした誓いは―…。
「ねぇ久実?」
「?」
声が出なくて顔の表情で返事をした。